「つい人のせいにしてしまう」
「周りのせいで自分がこんなに苦しい」
といった感情を抱く経験はありませんか？

もし、それが頻繁になり、強く思うようになった場合には「否定型うつ（または逆説的うつ）」と呼ばれる心理的な特徴が影響しているかもしれません。

今回は、「すぐ人のせいにしたくなる」心理の背景にある否定型うつについて解説し、この心理とどのように向き合っていくかを考えていきます。

「うつ」と聞くと、多くの人は落ち込みや自己否定を抱え、内向的になってしまうイメージを持つかもしれません。
しかし、「否定型うつ」はそれとは異なり、周囲に対して否定的になりがちなうつの一種です。
否定型うつの人は、周りの環境や他人を「責める」思考が強くなりがちで、「自分は悪くない」「周りが悪いからこうなっている」といった心理に支配されやすくなります。

この状態になると、怒りやイライラが強く表面化し、人間関係や日常生活でのストレスも増加するため、さらに症状が悪化するという悪循環が生まれがちです。

否定型うつにはいくつかの心理的な特徴や背景が関わっています。
たとえば「自己防衛」や「ストレスの回避行動」です。

自分の失敗や欠点を認めることがつらいため、外的な要因に原因を求める傾向が強まります。
また、完璧主義的な思考や他者との比較による劣等感が強い人に多く見られ、他者を非難することでかろうじて自己評価を保とうとすることがあります。

否定型うつを持つ人は、
「自分は間違っていない」「自分がこうなっているのは他人や環境のせいだ」という考えを無意識にもち、心の安定を保とうとします。
こうした思考は、一時的には自己評価を守ってくれますが、長期的には自分自身を苦しめてしまう要因となり、ますます心が疲弊してしまいます。

すぐに人のせいにしたくなる心理には、以下のような要因が関係していると考えられます。

≪自己防衛本能≫
自分を守るために、他者に責任を転嫁しようとすることがあります。
自分に責任があることを認めると、それを解決するために自分自身と向き合わなければなりません。
それがつらいとき、「自分ではなく他人が悪い」と考えることで、自分を守ろうとするのです。

≪自己評価の低さと攻撃性≫
自己評価が低いと、自分の中の不安や劣等感を他者に向けて発散しようとします。
その結果、他人に責任を押し付けることで自分を高めようとする行動が表れます。

≪受け身の姿勢≫
否定型うつの人は、「自分の力ではどうしようもない」という受け身の姿勢を強く持ちがちです。
責任を引き受けたくない気持ちや、自分で変化を起こすことへの不安から、他人に原因を求めることが多くなります。

どの心理にも、自分を守るために行っているんですね。
ですが、人間関係を壊しやすいのも否定型うつの特徴ともいえます。

否定型うつと向き合うためには、自分の思考の癖を理解し、少しずつ新しい視点を持つことが必要です。
以下の方法を試してみることで、少しずつ「すぐ人のせいにしたくなる」心理を和らげることができるかもしれません。

1. 自分の感情を観察する
まず、自分の感情を客観的に観察する習慣をつけましょう。
イライラしたり、他人のせいにしたくなったりするときに、「今、なぜそう感じているのだろう？」と自問してみてください。
自分の感情の原因や、どんな考えがその感情を引き起こしているのかを理解することで、否定的な思考に気づきやすくなります。

2. 他者を責める思考を一旦止めてみる
否定的な感情が強くなったとき、意識的にその考えを止めてみましょう。
思考がループする前に、「他人を責めるのではなく、今自分にできることは何か？」と考える習慣をつけることで、気持ちが少し楽になることがあります。

3. 自分の価値観や考え方を見直す
否定型うつの人は、完璧主義的で自分に厳しい一面も多いです。
自己評価を高めるためには、失敗や欠点も自分の一部として受け入れる心の余裕を持つことが大切です。
過去の失敗やネガティブな出来事も、自分の成長の一部と考えることで、新たな価値観が生まれます。

否定型うつは一人で改善するのが難しいく、悪化してしまう方も多いようです。
当カウンセリングルームでは、専門家の視点であなたの思考や行動パターンを理解し、新しいアプローチを学ぶことができるため非常に有効です。
心理療法で、自己と向き合いながら考え方の癖を修正していくことで、心のバランスが整いやすくなります。

おひとりでは難しいと思われる方は、ぜひお試しカウンセリングにてご相談くださいね。

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